【漫画で本紹介】墨のゆらめき
おはようございます。今回は、三浦しをんさんの作品「墨のゆらめき」を読了したので紹介します。
書道の魅力とその思いに惹かれる本
こんな人におすすめ
表紙の物体
表紙は作家のshikafucoさんの彫刻オブジェだそうです。
ゆらめく墨のような質感と触ってみたくなる不思議な魅力があります。
あらすじ
登場人物
続力(つづきちから)
三日月ホテルのホテルマン。
お世話になっている常連客の「お別れ会」のために筆耕士である遠田の家へと訪れるが、なぜか手紙の代筆の手伝いをすることに。
遠田薫
ホテルの筆耕士に登録している書家。
さまざまな文字に関する仕事をしている。
漫画で読むあらすじ
感想
墨の表現や書道の懐かしい気持ちを戻してくれる作品でもあるので、書道をやった人は墨の匂いを思い出すと思います。
私は墨の匂い、すごく好きだったので容易に思い出すことが出来ました。
力と遠田の掛け合いが面白くて楽しく読み進め、この二人の相棒感が出てきた頃合いには二人を好きになっていました。
手紙の代筆をひょんなことからすることになったホテルマンの力と、書家である遠田。
どちらかというと書家の仕事の方が堅苦しいイメージがありましたが、遠田がいい意味で奔放な性格のため、礼儀正しい力といい塩梅でした。
この本を読んで筆耕士という職業を初めて知りました。
終盤になると、遠田の本当の正体と、優しさ、力の気持ちがわかって、お仕事小説だと思っていましたが、これは友情を描いた小説へと変わっていきました。
続きそうな雰囲気で終わりましたが、次回作あるのかな?
心に響いた言葉
P98
「女がいままでとちがう態度を取ってんのに、『どうしたんだ』って聞きもせずただ受け止めるって、怠慢だろ。
歯ごたえがねえっつうか退屈な男で、そりゃ別れたくもなると俺は思った」
墨のゆらめき
「なんでも受け止めてくれる人」=「怠慢」という風に考えたことがなかったので驚きました。
むしろ私の中では「いい人」としか思っていなかったです。
しかも、「いい人」でありたい私は「受け止めること」すべてを善としてしまっていたので反省しないといけませんね。
P203
「べつに、はぐれもんだったり、罪を犯したりしたからって、書をやっちゃいかんということはなかろう。
書は、書いたものの心を映す鏡だ。
自分に向き合うためにも、おまえにはぴったりだと思うがな」
墨のゆらめき
書に向き合うのに年齢も犯罪者も関係ない誰にでも平等に与えられた権利。
そう思うと「書くこと」って偉大だなと感じました。
この感動は読んだ人にこそ更に心に刺さる言葉でした。
あとがき
書道家の話はもとより、オーディオブックにちょっと興味を持った作品でもありました。
好きな声優さんを見つけて朗読してもらえるの、魅力ですよね!
ってことで、今回はみうらしさんの作品「墨のゆらめき」でした。
選書の参考になれたらうれしいです。
最後に三浦しをんさんの他作品と、読書中級者向けの本を紹介しています。ぜひ覗いてみてください
それでは!
他作品紹介
三浦しをん他作品
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風が強く吹いている
きみはポラリス