【本紹介】夏美のホタル
おはようございます。今回は、森沢明夫さんの作品「夏美のホタル」を読了したので紹介します。この記事は昔の記事を転用いたしましたので漫画はありません。
人との出会いをあなたは大切にできていますか?
この作品を選んだ理由
森沢明夫さんの本を「エミリの小さな包丁」で初めて読みましたが、心が潤いました。
好きな作家さんの作品はたくさん読みたい派なので、今回この作品にしました。
こんな人におすすめ
登場人物
相場慎吾(あいばしんご)
酒屋の次男で、写真科の大学生。夏美の恋人。
河合夏美(かわいなつみ)
幼稚園の先生。バイクを乗っているが、運転が荒い。慎吾の恋人。
福井恵三(ふくいけいぞう)
「地蔵さん」と呼ばれており、「たけ屋(なんでも屋)」を営んでいる。ヤスエと共に暮らす。
福井ヤスエ
恵三の母。恵三と二人で暮らしている。
榊山雲月(さかきやまうんげつ)
一木造りの仏像を造る仏師。
あらすじ
夏美と慎吾がある日トイレを借りに入ったお店から物語が始まります。
たまたま入ったお店は、なんでも屋をしている「たけ屋」。
そこには「地蔵さん」と呼ばれている恵三とその母であるヤスエが住んでいました。
二人は夏美と慎吾を温かく迎え入れ、夏になったらホタルを見に来るように勧めました。
夏美と慎吾はその後、ホタルを見、土地を気に入った二人はたけ屋に夏休みの間お世話になり、その土地の自然に魅了されます。
その中から慎吾と夏美は人生を振り返り、進むためにどうあるべきかを考えることになります。
感想
中盤涙が止まらない展開となり、ボロボロ泣きながら読みました。
登場人物はどこまでも優しく人情味あふれる人が多く、その中でも優しさの形はそれぞれあること知ることができる作品です。
自分が一番最初に授かっているもの、『名前』について考えたことがなかったので、考えるいい機会となりました。
どういう気持ちで、どういう思いが込められているか。
そして、それは最初で最後の形のない『形見』となる。
そういう風に考えたことなんてなかったし、形見というのはものしかないと思っていたので目から鱗でした。
後日、父に対して実際に「名前を気に入っている、いろんな人に褒められる」旨のことを照れながら伝えたところ「そう言ってもらえると嬉しい」と父から言ってもらえました。
また、私なら知らないお宅に訪問することはとてもできないですが、夏美の素直な性格が全てを好転しているようで羨ましく思ってしまいました。
そして、親子についても考えさせられました。
親子にもたくさんの形があり、型にはまることに囚われなくて良いと言われてる気がしました。
作中にでてくる人生における三つの喜びである「この世に生まれてくる喜び」「親に愛される喜び」「伴侶と一緒に子供の幸せな姿を見る喜び」は一生忘れたくないです。
心に響いた言葉
雲月がまだ仏師の修行をしている最中に師匠からもらった言葉。
この言葉は、仏師はもちろんのこと、他の職業にも精通すると思います。
この言葉単体では正直心に響きませんでしたが、雲月が師匠に教えてもらって、それを口下手な雲月が誰かに伝授したということに感動しました。
こうやっていろんな垣根を越えてちゃんと繋がっていくのってなんかいいなと思いました。
冒頭にも書きましたが、本当に目から鱗でした。
親が亡くなった後に何もなく虚無になることもあるかもしれません。
けど、自分の名前がある限りどんなに遠くに離れていても身近に感じることが出来る。
そう思うと名前って本当に大事だなと実感しました。
これは「あとがき」で森沢さんが書かれた文章の一部です。
この言葉からわかるように森沢さんは人と人のつながりを大切にしているんだなということが伝わってきます。
私の場合「どうせ別れるんだから淋しくならないように」という考えのもと行動していることが多いので、森沢さんの「どうせなら、別れをとことん淋しくなるように」という考え方には驚きました。
他メディア化
映画
有村架純さん主演で、原作と内容が少し異なるそうです。
どう異なっているかも楽しめるのは映像化の特権ですよね。
あとがき
こんな夏休みを過ごしたい!って思えるような作品です。
読書感想文にもおすすめなので、ぜひ学生さんにも読んでいただきたいです。
ってことで今回は森沢明夫さんの作品「夏美のホタル」でした。
選書の参考になれたらうれしいです。
最後に森沢明夫さんの他作品と、読書初心者向けの本を紹介しています。ぜひ覗いてみてください
それでは!
Audible
「夏美のホタル」はAudibleでも楽しむことができます。
少しの隙間時間でも聴くことで読書ができるのでおすすめです!
ナレーターは声優の竹内ゆうかさんがつとめています。
他作品紹介
森沢明夫他作品
エミリの小さな包丁
虹の岬の喫茶店