【漫画で本紹介】クローゼット
おはようございます。今回は、千早茜さんの作品「クローゼット」を読了したので紹介します。
服の歴史と奥深さを知れる本
こんな人におすすめ
漫画で読むあらすじ
↑単行本の表紙ですが、この表紙が好きな人はぜひ読んでほしいです。
感想
この本を読んで、古いものその時代の状態へ修復・保管する仕事があることを初めて知りました。
実際に京都に公益財団法人、京都服飾文化研究財団(KCI)という場所があり、今回千早茜さんはそこを舞台にしているそうです。
文庫には文庫化記念対談としてKCIのキュレーターの筒井直子さんとの対談が収録されています。
千早さんの服の歴史に興味を持ったきっかけや、実際にKCIに行っての感想、どのように物語に落とし込んでいるかなどなど興味深い内容となっています。
『クローゼット』は千早茜さんの繊細な文章が、服飾補修士の仕事とマッチしていて職人技に圧倒されました。
対談にも書いてあった通り、職人の集中力が伝わってくるため私ものめり込まれてしまいました。
服との対話を表現することで心の機微を敏感に感じ取ることが出来る作品でした。
私の小さい頃は男の子がピンクとかフリルを身につけるのには違和感がある時代だったので、ジェンダーレスはこれからの時代の魁(さきがけ)だと思いました。
歴史的に見ると男性の方がフリルをあしらった洋服があるということに気づかされたため、更に服に対しての奥深さを知ることが出来ました。
近代のブランドなども出てくるので検索しながら読むと更に面白いです。
心に響いた言葉
P118
「力では絶対に敵わない相手に近づいてこられる恐怖を一度でも想像してみたことがないから、簡単に人に触れようとするのよ。」
「(中略)許可もなく人に触ろうとすることは間違っている。
悪気はなかったと言うのなら、誤解させるような行動をとったことを反省して」
クローゼット
男性恐怖症の纏子(まきこ)に対して、親友である昌のセリフ。
「2メートル以上ある100キロ近い大男が、突然触ろうとしてきたらどう思う?」
この言葉、男性の方は覚えておいてほしいです。
性別でそんな…って思う方もいるかもしれませんが、女性からしたら男性ってそういう存在であることが多いです。
力では絶対に敵わない相手であることをちゃんと頭に置いておくことでお互いを尊重できるのではないでしょうか?
P134
「気に入った服を長く着続けたかったらどうする?
乱暴に扱うかい。
靴だって服だって、自分の身体に馴染むまで手入れをしながら大切に扱うだろう。
人との関係だって同じさ、丁寧に扱えば長持ちする関係を築ける。
まずは相手をよく見ることだよ」
クローゼット
人と長く付き合おうとすると相手をよく見て、丁寧に扱わないといけない。
分かっているけどなかなかできる事じゃないですよね。
相手のことをちゃんと見れる人間になりたいなと思った言葉でした。
京都服飾文化財団(KCI)について
『クローゼット』で描かれている通りのことですが、活動理念では
京都服飾文化研究財団の法人活動理念 世界の各時代の衣服、装身具及びこれらに関する文献、資料等の収集、保存を行い、衣服と文化について研究を行うとともに、展覧会・講演会等を通じてその成果を広く公開し、もって我が国の服飾文化の発展に寄与する。
京都服飾文化研究財団の法人活動理念
と書かれており、やはり服の保存、文献・資料の収集、展覧会など多岐にわたって活動している団体です。
公式HP
バックナンバー
KCIが発行している「服をめぐる」はHPでもバックナンバーをたどることが出来ます。
また、服をめぐるの17では千早茜さんの短編作品「扇の裏」を読むこともできます。
現在最新(2023年9月)の服をめぐるでは補修士さんの道具を見ることができ、『クローゼット』の中を覗いた気分になりました。
あとがき
男性にもぜひ読んでほしい作品です。
この作品で男性と女性で少しでもお互いが分かり合えればいいなと思いました。
ってことで今回は千早茜さんの作品「クローゼット」でした。
選書の参考になれたらうれしいです。
最後に千早茜さんの他作品と、読書中級者向けの本を紹介しています。ぜひ覗いてみてください
それでは!
他作品紹介
千早茜の他作品
赤い月の香り